花咲か爺さん

だいぶ前になるけど、母方のおじいちゃんは丁度桜が満開のころにこの世を去った。伯父も火葬場へ向かう霊柩車の後ろの車で、「まるで映画みたいだなあ」とため息をついたくらい、それは見事な桜並木だった。僕はひそかに、おじいちゃんは花咲か爺さんだったんだ、と息をのんだ。多くの宗教で、人の生まれるときと亡くなるときは決められているという。今回の震災で亡くなった人の気持ちがこれから咲き誇る桜の美しさにこめられるよう、心から願っておる。