父と子のスペイン巡礼(あとがきの下書き)

父さんと生き別れてからもう4年近くになる。今父さんはフランスの地方都市近郊に恋人と暮らしている。遠藤周作がリヨンの郊外に住んでいるという知らせがあって一度日本に帰国してまたフランスへ旅立った。恋人と再婚したのか、そこまで走らないけれど、兄さんによればまだ生きているらしい。
父さんと一緒に旅したころを思い出すと、センチメンタルな気持ちになる。そのなかでも一番大きいのがニュージーランドから出発したスペイン巡礼だ。ゴルフの会員権を解約したお金でスペインに約一ヶ月滞在、フランスに3日滞在できた。
母の物語、兄の物語は別として、「旅」という人生の分岐点では、このたびが最もかけがえのないものである。最終地点Leonに到着する一歩手前で父さんが「この旅を終わらせたくない」と泣きながら言ってくれたこと、これが一番の心の財産となっている。この文章を含む「父と子のスペイン巡礼」という本が、父さんがこの世を去る前に出版されて、父さんの手元に届くことを切に願っている。
I am not a chlid.
I am old enough to love you from a far.
Even if I never hold you again.