<声>のための私的修辞学(デモ)

これから述べられる物語は、<人間>の<声>についての探究における長い道のりの始まりである。本来、社会学のアプローチで出発すべきではあるのだが、私はこの旅を、あえて修辞学のスタイルを採用することに決めた。というのも、当初この論文のスタイルは「覚書」のようなものを引用したが、上野千鶴子編「構築主義とは何か」のなかでページをめぐったときにふとJ.バトラーの修辞学をみてすっかり開眼し、声の私的修辞学というタイトルとした次第である。引用が異本を生むという修辞学は、すでにあるものをコラージュのような作業を書き改めるものである。私は2004年に「声の社会学的試論」という小論文を書いているが、これから記述されるもののなかに、かなりの比率でかつ厚みのあるものがそこに発見されるであろう。過去の記述を振りかえるものであり、そしてみらいへ向けて私はこの文章を記述していく。